株式投資では当たり前のように使われる「ロング(買い)」「ショート(売り)」という言葉は、保有期間が「長い」「短い」という意味ではない。起源の核は、売買契約において「資産が不足している側(short)」という立場である。

本来の意味

shortは「不足している」という意味

辞書で「short」を調べてみると「短い」のほかに、「不足している」という日本人には馴染みのない意味がある。

例1:short change 釣り銭を(ごまかして)少なく渡す

例2:I’m a bit short today. きょうは持ち合わせがあまりない

現代で使われる「ショート」は、この英語のshortが持つ「不足している」という意味がそのまま金融に移植されたと理解すると腑に落ちる。

株を空売りする人は、売った時点では株を持っていないため、後から株を調達して返す必要がある。つまり株が“不足している”状態だ。

歴史的には「sell short(不足している分を売る=空売り)」という表現は少なくとも1852年頃には確認される。

ロングは意味由来ではない

ロングはショートの反対語として定着した側面が強く、金融辞書的には「売り契約に必要な数量より多く保有していて価格上昇に依存する立場」という定義がされている。

決して「長い」という意味ではないのだ。

古い市場用語としては、long of stock(株が余っている=超過)、short of stock(株が足りない=不足)が使われている。

意味が変化した

金融市場の発展で意味が変化していった

  • short(英語)=不足(株が手元にないのに売った状態)
  • short(投資用語)=売りポジション(価格下落で得する構造)

株式の現物取引は本来、買って持つのが基本だ。ここに先物・オプション・信用取引などが流入し、ポジションを統一した表現で表すと便利ということになってきた。そこで以下の意味に整理された。

  • ロング:買い側、保有側、上昇で得をする側
  • ショート:売り側、借りて売る側、下落で得する側

この時点で本来は「不足している」という意味だったショートが「売る」という意味に変わっている点に着目されたい。

まとめ

ロング、ショートを保有期間のことと理解している人が多いが、それは間違いだ。その証拠に数分だけ保有するロングもあれば、長期に渡って売り続けるショートもあり得る。

ロング、ショートは正しくは、ポジションの所有を指す言葉である。

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