運命の種火

ここは喧騒から切り離された小さな祈りの部屋。RBは相次ぐ損失にうなだれ、自らの投資家としての運命を呪っていた。

「マザー・テレサ、俺はもう疲れました。どれだけ努力しても、結局最後は運に見放される。俺には富を築くような運命は与えられていないのかもしれません」

暗がりの中、質素な白いサリーを纏った小さな背中が、ゆっくりとこちらを振り向いた。その刻まれた皺は、慈しみそのものだった。

「RBさん、運命とは、空から突然降ってくる雷のようなものではありません。それは、あなたが心の中に蒔いた小さな種が育った姿なのです」

「種……?俺がいつ破滅の種なんて蒔いたというんですか?」

マザーは静かに、しかし一言一言を噛みしめるように語りかけた。

思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。

「……昨日の暴落で、あなたは心の中で何を考え、どんな言葉を口にしましたか?」

RBは言葉に詰まった。

「市場が間違っていると考え……『最悪だ、何もかもめちゃくちゃだ』と叫びました」

「その思考と言葉が、根拠のないナンピンという『行動』を呼び、それを繰り返すことが『習慣』となりました。そして、損を認められない頑固さがあなたの『性格』となり、今、破綻という『運命』となって目の前に現れているのです」

RBは雷に打たれたような衝撃を受けた。自分の不運だと思っていたものは、日々の些細な「思考の癖」が積み重なって出来た必然の結末だったのだ。

「いいですか。投資のテクニックを磨く前に、あなたの心の静寂を整えなさい。富を築く運命は、毎朝のチャートチェックではなく、あなたの心の在り方から始まっているのですよ」

この話の教訓

投資の結果という運命は、突然の出来事によって決まるのではなく、日々の思考から始まる連鎖反応の終着点である。

不平不満や短気な思考は、やがて規律を乱す行動や悪習へと繋がり、最終的に投資家としての破滅を招く。

運命を変えたければ、まず自分の内なる「思考の質」と、無意識に発する「言葉」から正さなければならない。

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