子供が小学校高学年になると、こんな質問が飛んでくる。

「なぜ勉強しないといけないの?」

この問いに、大人が真正面から答えるのは意外と難しい。「将来のため」と言ってもピンとこない。「良い大学に入るため」と言うと急に話が遠くなる。「テストで良い点をとるため」と本質的でない回答をすれば子供は勉強が嫌いになるだろう。

そんな難しい問いに答えを与えてくれるのがスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で語った「点と線」の考え方だ。

点と線とは何か

ジョブズのスピーチを簡潔に

点というのは、経験や知識やスキルのこと。線というのは、点同士が繋がって生まれる未来の可能性のこと。

ジョブズの有名な話はこうだ。

「未来の線は、今この瞬間には見えない。でも、点を作っておくと後から線として繋がることがある」

ここが重要で、点を作らなければ線は生まれない。逆に言えば、点が増えるほど、線になる候補が増える。

ジョブズの場合、大学の授業でカリグラフィー(ペンや筆を使い文字を美しく見せる技法)を学んだことが後のPC事業の差別化に役立った。MicrosoftのWindowsにおいてビル・ゲイツが「PCにどうして複数のフォントが必要なんだ?」と冷笑する一方、ジョブズはMacに美しいフォントを実装した。

勉強は点を増やす行動だ。勉強をテストの点を取るための作業だと思うと苦しくなる。でも、勉強を点集めだと考えると意味が変わる。

  • 計算できる、は点
  • 文章が読める、は点
  • 人に説明できる、は点
  • 英単語を知っている、は点
  • 理科の仕組みが分かる、は点

点が増えると、できることが増える。できることが増えると、選べる道が増える。これが人生の可能性が広がるということだ。

「先に線を繋げないのに勉強する意味はあるのか?」

子どもがモヤっとするのはここだと思う。

「どうせ将来どうなるか分からないなら勉強しても意味なくない?」

でも、ここで言っているのは計画が完全に無意味という話ではない。人生においては細かい未来を決め打ちするのが難しいという程度問題の話だ。

未来は予測できないからこそ点を持っている人が強い。点がある人は、状況が変わったときにルート変更できる。点がない人は変更したくても動けない。ときに詰んでしまう。

つまり、勉強は未来に対応するためにやるべきなのだ。

高学年に刺さる具体例

子どもは抽象より具体で納得する。点と線を身近な例に落とすと一気に伝わるだろう。

【算数の点が線になる例】

  • 割合が分かる → セールの本当の安さが分かる
  • 速さが分かる → 移動時間を見積もって遅刻が減る
  • 図形が分かる → 工作、デザイン、ゲームの世界づくりで役に立つ

【国語の点が線になる例】

  • 文章を正しく読む → 騙されにくくなる
  • 自分の考えをまとめる → 友だちと揉めにくくなる
  • 説明がうまい → 先生や親に伝わって味方が増える

【理科・社会の点が線になる例】

  • 仕組みが分かる → ものづくりやITに強くなる
  • 歴史を知る → ニュースの意味が分かって世界が広がる
  • 地理を知る → 旅行もスポーツも面白くなる

これらすべて、今すぐに将来の職業に直結するという類のものではない。大事なのは、点が増えるほど将来、ユニークな線ができる確率が上がることだ。

点集めのコツはすべて完璧を目指さないこと

ここを説明しておかないと子どもは反発するだろう。

「全部の教科を全部100点は無理じゃん」

点は100点でなくてもいい。大切なのは、次のバランスだ。

  • 苦手でも最低限の点は作る(読み書き計算の基礎)
  • 好きな分野は点を多めに作る(得意を増やす)
  • 点を作ったら残す(ノート、作品、発表、自由研究)

最低限の点は、人生の土台になる。好きな点は、人生の武器になる。人生ではこの二段構えが最も強い。

子どもへの一言回答

口頭で使える答えのテンプレートを作ってみた

小学校高学年なら、このくらいの言い方がちょうどいい。

「勉強は未来のための点集めだよ。今は何に使うか分からなくても、点が多いほどできることが増える。できることが増えると、選べる道が増える。だから勉強は人生の可能性を広げるためにやるんだよ」

まとめ

「勉強しなさい」は無意味

効果がないにもかかわらず、よく親が言う「勉強しなさい」という言葉。実は親も勉強の価値をよく理解していないというのが実情だろう。

勉強しないといけない理由を、根性論や義務感で片付けると長続きしない。でも、スティーブ・ジョブズの点と線の考え方で説明すると、勉強は未来を広げるための行動になる。

先に線を繋ぐことはできない。だからこそ先に点を作る。点がある人だけが、後から線を引くことができる。

「小学生のなぜ勉強しないといけないの?」に対して、これ以上シンプルで前向きな答えはないだろう。

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